疲れやすい、集中できない、食欲がわかない…そんな不調、もしかしたら「ビタミンB1不足」かもしれません。
チアミンとも呼ばれるビタミンB1は、私たちのエネルギー代謝と神経の働きに欠かせない栄養素。
この記事では、ビタミンB1の働きや多く含まれる食材、必要な摂取量についてわかりやすく解説します。
チアミンって何?
チアミンとは、ビタミンB1の別名です。8種類あるB群ビタミンの中で最初に発見されたため、「B1」と名付けられました。
ビタミンB1は、脳や神経の働き、そしてエネルギーを作り出す代謝にとって不可欠な栄養素。別名「神経ビタミン」や「エネルギービタミン」とも呼ばれています。
🔍 ポイント
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水に溶けやすく、体に蓄積できない
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毎日こまめに摂取する必要がある
ちなみに発見のきっかけは、白米の外皮を除くことで「脚気(かっけ)」という病気が多発したこと。20世紀初頭、ポーランドの生化学者カジミエシュ・フンクがこの事実に着目して、ビタミンB1の存在を突き止めました。
ビタミンB1が重要な理由
ビタミンB1は、糖質やたんぱく質の代謝をサポートし、それをエネルギーに変える役割があります。
特に、脳や神経細胞は「ブドウ糖(グルコース)」だけをエネルギー源として利用するため、B1が不足すると働きが低下してしまいます。
🧩 主な役割
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糖質の代謝を助け、エネルギーを生み出す
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神経の信号伝達をサポート
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幸せホルモン「セロトニン」の生成にも関与
つまり、B1は脳のパフォーマンスや集中力、メンタルの安定に深く関わっているのです。
1日にどれくらい必要?
年齢やライフスタイルによって必要量は異なりますが、以下は一般的な推奨量の目安です(mg/日)
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👶 乳児:0.2〜0.3
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👦 子ども(〜13歳):0.6〜0.9
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🧑 若者(〜19歳):1.0〜1.4
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👩 女性:1.0
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👨 男性(〜65歳):1.2
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👴 男性(65歳以上):1.1
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🤰 妊婦・授乳中:1.2〜1.3
しっかり食べているつもりでも、偏った食生活や過度なストレス、アルコール摂取などで不足しやすくなります。
ビタミンB1を多く含む食品
B1は植物性・動物性の両方に含まれていますが、加工や加熱で失われやすいのが難点。できるだけ“やさしく”調理するのがおすすめです。
🍚 穀類
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全粒の小麦・ライ麦
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オートミール
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玄米
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雑穀粉(小麦、トウモロコシ、大麦など)
🥦 野菜・豆類
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じゃがいも
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アスパラガス
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カリフラワー、ケール、フェンネル
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にんじん、トマト
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グリーンピース、豆類
🥜 ナッツ・種
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ピーナッツ、くるみ、パラナッツ、アーモンド
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ひまわりの種、カシューナッツ
🍖 動物性食品
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赤身の牛・豚肉(特に内臓)
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魚介類
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卵、乳製品
💡 調理のコツ
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長時間の加熱や水煮は避けて、蒸す・炒めるなど短時間調理を
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保存は冷暗所で!空気や光にも弱いので注意
不足するとどうなる?
B1が不足すると、以下のような不調が現れることがあります。
⚡ よくある症状
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疲労感、だるさ
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集中力の低下
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記憶力の低下、混乱
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食欲不振
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筋肉のけいれん
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風邪をひきやすい(免疫力の低下)
気になる症状が続く場合は、医師に相談しましょう。なお、食事で多く摂っても、体に不要な分は尿として排出されるため、過剰摂取のリスクは低いとされています。
ひと目でわかるポイント
- ✅ビタミンB1(チアミン)は、神経とエネルギー代謝に不可欠な栄養素。
- ✅体内で作れない&蓄えられないので、毎日しっかり摂ることが大切。
- ✅熱や空気に弱いため、調理法や保存方法にもひと工夫を。
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https://www.gesundheit.gv.at/leben/ernaehrung/vitamine-mineralstoffe/wasserloesliche-vitamine/vitamin-b1.html#:~:text=Vitamin%20B1%20(auch%3A%20Thiamin),zudem%20wichtig%20f%C3%BCr%20das%20Nervensystem.