疲れやすい、イライラしやすい、集中できない…。そんな不調を感じたら、ビタミンB6不足が関係しているかもしれません。
ビタミンB6は、体の中で実にさまざまな働きを担っている重要な栄養素。エネルギー代謝や免疫機能、脳神経の働き、肌の健康まで、あらゆるところに関わっています。
この記事では、ビタミンB6の働きや不足のサイン、豊富に含まれる食品について、分かりやすく解説します。
ビタミンB6ってどんな栄養素?
ビタミンB6は、体と心の健康に欠かせない必須ビタミン。複数の似た構造の成分(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンなど)からなり、体内で相互に変換されて使われます。最終的に使われるのは「ピリドキサールリン酸」という活性型です。
🔧 体内での主な働き
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アミノ酸代謝:食事から摂ったアミノ酸を必要な形に変換
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神経系のサポート:神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)の合成に関与
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エネルギー生成:肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解し、血糖値が下がったときにエネルギー供給
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赤血球の生成:ヘモグロビンの合成を助け、全身に酸素を運ぶ
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脂質代謝:細胞同士の情報伝達に必要な脂質「スフィンゴ脂質」の合成にも関与
ビタミンB6が多く含まれる食品
ビタミンB6は、動物性・植物性の両方の食品に広く含まれています。特におすすめの食材は以下の通りです👇
🥩 肉類:牛肉、鶏肉、豚肉、七面鳥、合鴨
🐟 魚介類:ツナ、鮭、イワシ、サバ
🥜 ナッツ・種子類:ピスタチオ、ひまわりの種、ヘーゼルナッツ、くるみ、ピーナッツ
🥗 野菜・果物:赤パプリカ、さつまいも、じゃがいも、芽キャベツ、アボカド、バナナ
また、パンや米(特に全粒タイプ)、卵、牛乳、さまざまな野菜・果物にも少量ずつ含まれています。
⚠️ 注意点
ビタミンB6は熱や光に弱く、水に溶けやすいため、長時間の加熱や調理法によっては大幅に減ってしまうことも。食材の保存や調理方法にもひと工夫が必要です。
ビタミンB6の1日の推奨摂取量
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、以下のような目安が示されています。
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成人女性(15歳以上):1.1 mg/日
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成人男性(15歳以上):1.4 mg/日
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妊娠中:初期は1.2 mg、中・後期は1.5 mg/日
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授乳中:1.5 mg/日
日常の食事で十分に摂れる量ではありますが、偏った食生活が続くと不足するリスクがあります。
不足しやすいのはどんなとき?
基本的には、バランスの取れた食事をしていれば不足の心配は少ないビタミンですが、次のようなケースでは欠乏することもあります。
🥣 食生活がインスタントや加工食品中心
📉 ダイエットや極端な食事制限
😣 摂食障害や長引く食欲不振
👵 高齢者や慢性疾患のある人
このような状況では、医師の指導のもとでサプリメントの利用を検討するのも一つの方法です。
ビタミンB6が不足するとどうなる?
ビタミンB6が不足すると、以下のような症状が現れることがあります。
💭 物忘れや集中力の低下(いわゆる「ブレインフォグ」)
😠 イライラ・情緒不安定
🦠 免疫力の低下
🧠 精神的な不調(軽度のうつなど)
ただし、これらの症状は他の原因でも起こることがあるため、気になるときは医師の診断を受けるようにしましょう。
ひと目でわかるポイント
- ✅ビタミンB6はエネルギー代謝・神経の働き・免疫・血液生成などに深く関わる万能ビタミン
- ✅肉・魚・ナッツ・野菜などに幅広く含まれるが、調理によって減りやすいため注意が必要
- ✅加工食品中心の食生活や過度なダイエットでは不足のリスクも
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厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html