スポーツやトレーニングというと、つい「どれだけ走れるか」「どれだけ重いものを持ち上げられるか」といった“身体的な強さ”ばかりに意識が向きがちです。
でも、本当に大事なのは「心のコンディション」まで含めたメンタルのフィットネス。そこで鍵になるのが、マインドフルネスとレジリエンスです。
トレイルラン、球技、ジムトレーニングなど、どんなスポーツでも、肉体的な負荷は同時にメンタルにも負担をかけます。マインドフルネスを取り入れることで、トレーニング中の集中力が高まり、ネガティブな思考に飲み込まれにくくなります。自分の感情やモチベーションに気づく力が育つことで、「続ける力」にもつながります。
一方、レジリエンスは、身体的・精神的なストレスにうまく対処し、そこから回復するための“しなやかな強さ”。レジリエンスを鍛えることで、カラダからのサインに気づきやすくなり、オーバートレーニングを防いだり、トレーニングへのやる気を長く保ちやすくなります。
この記事では、マインドフルネスとレジリエンスを日々の習慣にするための具体的なヒントと簡単なエクササイズを紹介します。

スポーツにおけるレジリエンスとマインドフルネスの効果
レジリエンスとマインドフルネスは、どちらか片方だけではなく、組み合わさることで力を発揮する“二つの土台”です。どちらも、ストレスを処理したり、新しい・予測できない状況に適応するために欠かせません。
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レジリエンス
精神的なタフさ、回復力、自分の能力への信頼、そして挫折から立ち直る力を指します。 -
マインドフルネス
身体や心の変化に“今この瞬間”の意識を向けて、評価やジャッジをいったん横に置きながら、そのまま受け止める力です。
ハードなトレーニングや試合だけでなく、日常生活の中でも、精神的なストレスは確実にパフォーマンスに影響します。だからこそ、ストレスにどう向き合うかという「スキル」を身につけることが重要です。
特に新型コロナのパンデミック時には、不安定さや孤立感などのストレス要因が増加し、メンタルヘルスや心血管系の健康、全体的なウェルビーイングにネガティブな影響が見られました。
分析によると、持久系スポーツで高いレベルにあるアスリートは、ロックダウン中でもレジリエンスが高く、ストレスに対する適応的な思考・感情の対処戦略を持っていたことが示唆されています。
つまり、スポーツパフォーマンスの高さと、メンタル面のレジリエンスやマインドフルネスの高さには関連がありそうだということ。
ここからは、マインドフルネスとレジリエンスを日々のルーティンに落とし込む方法を見ていきます。

リラックス技法で高めるマインドフルネスとレジリエンス
定期的にマインドフルネスの実践を行うと、精神的ストレスが軽減され、酸化ストレス(細胞レベルのストレス)も減らせる可能性があります。
酸化ストレスとは、体内の「活性酸素(フリーラジカル)」と、それを打ち消す抗酸化システムとのバランスが崩れている状態のこと。活性酸素が多すぎると、細胞や組織が傷つきやすくなります。
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慢性的なストレス
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睡眠不足
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栄養バランスの乱れ
などは、酸化ストレスを高める要因になり得ます。
逆に、マインドフルネスやリラックス技法の実践・十分な睡眠・バランスのとれた食事・適切なサプリメント(例:AG1のような栄養サポート)を組み合わせることで、身体の抗酸化防御をサポートできると考えられています。
精神科医・生理学者エドムンド・ジェイコブソン(Progressive Muskelrelaxation=漸進的筋弛緩法の提唱者)によると、深いリラックス状態には以下のような特徴があります。
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規則正しい呼吸
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安定した心拍数
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力みの抜けた手足
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落ち着いたまぶたの動き
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「心地よく静かな感覚」が主観的に感じられること
自律神経の働きは、二つの拮抗するシステムに分かれています。
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交感神経
身体を「戦うか逃げるか(fight-or-flight)」モードに切り替え、パフォーマンスを発揮するためのエネルギーを一気に引き出す役割があります。
心拍数・呼吸数・筋肉の緊張が高まり、瞬時の行動に適した状態になります。 -
副交感神経
こちらは「休む・消化する(rest-and-digest)」モード。身体を回復モードに戻し、ホメオスタシス(体内のバランス)を保ち、エネルギーを蓄える方向に働きます。
リラックスするということは、生理学的には「交感神経から副交感神経へのスイッチを切り替えること」だといえます。
意識的にこの切り替えを練習していくことで、より早く“回復モード”に入りやすくなり、レジリエンスとマインドフルネスを育てやすくなります。
これから紹介するエクササイズを、週に数回〜できれば毎日、トレーニングの前後やオフの日に取り入れて、自分なりのリラックス&メンタル強化ルーティンを作ってみてください。

日常とトレーニングで使える3つの習慣
ここからは、今日から取り入れられる、シンプルで続けやすい3つの習慣を紹介します。
習慣① 全身を「トントン」叩いてゆるめる(アブクロップフェン)
筋肉や結合組織、全身には、ストレスや緊張がそのまま「コリ」や「張り」として溜まっていきます。
全身をやさしく叩いてゆるめる「アブクロップフェン」は、その緊張をほどきながら、今・この瞬間の身体感覚に意識を向けるシンプルなマインドフルネスエクササイズです。
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足を腰幅に開き、目を閉じて立ちます。数回、深く呼吸し、呼吸と身体に意識を向けます。
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手のひらでお腹のあたりからやさしくトントンと叩き始めます。そこから胸・肋骨まわりへと広げていきます。
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少し強めのタッチで、お尻・届く範囲の背中・腰・太ももを叩いていきます。
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上体を前に倒し、膝はやさしく、ふくらはぎは少ししっかりめに、足はまた軽くトントンと叩きます。
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脚の内側を通って上へ戻り、胴体、そして左腕を右手で、右腕を左手で叩きます。
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首や喉まわりは、指先だけを使ってやさしくタップします。
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顔・額・頭もやさしく叩き、最後に両手・指をぶらぶらと勢いよく振って力を抜きます。
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必要であれば、あくびをしてみましょう。あくびは、身体の緊張を自然にゆるめ、ストレスを手放すのを助けます。
ポイントは、今叩いている部位に意識を向け続けること。考え事が出てきたら、「今はカラダに意識を戻そう」と、やさしく注意を戻してあげましょう。
習慣② ボディスキャンで「今のカラダ」を感じる
ボディスキャンのような身体感覚への気づきを高めるエクササイズは、
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自分の身体への理解が深まる
ケガの予防につながる
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ストレスや緊張に早く気づける
といったメリットが期待できます。
トレーニング前後やオフの日などに、最初は5〜10分から始めて、慣れてきたら15〜20分ほどに伸ばしてみるのがおすすめです。
やり方の一例:
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マットなどの上に仰向けになり、楽な姿勢で横になります。
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身体が床に触れている部分に意識を向けます。
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どこが“面”で広くついているか
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どこが“点”のように小さく接しているか
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逆に、床やマットに触れていない部分はどこかを感じてみます。服が肌に触れている感覚や、空気が当たる部分にも意識を向けてみましょう。
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周りの空間・室温・空気の感じなども、ただ「そうなんだな」と観察します。
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左右の身体を比べてみます。左右で重さや広がり方、緊張の具合に違いはありますか?
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重く感じる部分、軽く感じる部分、それぞれにゆっくり意識を向けていきます。
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何かを変えようとせず、「いま、こう感じているんだな」と受け止めるだけにします。呼吸は自然なリズムのままでOKです。
評価やジャッジではなく、「情報としてただ受け取る」ことが、このエクササイズのポイントです。
習慣③ トレーニング後の10分ディープリラックス
トレーニングの最後に約10分のディープリラックス(深いリラクゼーション)を入れることで、
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身体の緊張が均等にほどける
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筋肉の張りが落ち着く
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心身が「がんばるモード」から「回復モード」に切り替わる
といった効果が期待できます。
この時間を定期的にとることで、「リラックスしているときの心地よい感覚」が脳に記憶され、日常やトレーニング中のしんどい場面で、その感覚を思い出しやすくなるともいわれています。
ディープリラックスの方法の例:
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漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle Relaxation)
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呼吸法(ゆっくりとした腹式呼吸など)
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イメージトレーニング・ビジュアライゼーション(静かな場所や心地よいシーンを思い描く など)
共通して大事なのは、
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意識的に筋肉の力を抜くこと
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呼吸をゆっくり・深く整えること
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思考を「ポジティブで安心できるイメージ」に向けること
こうした状態をつくることで、自律神経が整いやすくなり、回復・ストレス軽減・メンタルヘルスのサポートにつながります。

ポジティブなマインドセットを育てるために
新しい習慣が“当たり前”になるまでには、少し時間がかかります。
マインドフルネスやレジリエンスのトレーニングも同じで、数週間〜数か月単位で取り組むイメージを持っておくと続けやすくなります。
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まずは週に数回から
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できる日は毎日のルーティンに少しずつ組み込む
といったペースで、自分に合うやり方を見つけていきましょう。
マインドフルネスのエクササイズをトレーニングに取り入れていくと、
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精神的なレジリエンスが高まり
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身体の回復力もサポートされ
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ストレスによる酸化ダメージの軽減にもつながる可能性があり
結果的に、パフォーマンスとモチベーションが“しなやかに続く”土台ができていきます。
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呼吸法
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ボディスキャン(身体感覚の観察)
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イメージトレーニング
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リラックスエクササイズ
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食事のときに一口一口を味わう「マインドフルイーティング」
こうした小さな実践を組み合わせることで、マインドフルネスとレジリエンスは、特別な日のテクニックではなく「毎日の習慣」になっていきます。