性欲は、人生のステージや体調によって上下するのはごく自然なことです。男性も女性も同じです。
しかし、性欲が長期間低下してしまい、パートナーとの関係にストレスや不満が生じる場合は、原因を見つけて対策を考える必要があります。
ここでは、リビドー低下(性欲の低下)について理解し、食事やライフスタイルで改善するヒントをご紹介します。
目次
リビドー低下とは?
リビドーとは「性欲」のことです。性欲が一時的に、または長期的に低下する状態を「リビドー低下」と呼びます。ここでいう低下は、身体の機能的な問題(勃起障害や膣のけいれんなど)ではなく、「性的活動への関心が薄れる」ことを指します。
リビドーの低下を問題と感じるかどうかは個人差があります。性欲がほとんどない状態でも満足している人もいれば、性欲が減ることでストレスや不満を感じる人もいます。後者の場合、専門家は「性的アペタンス障害」と呼びます。
💡 ポイント
性欲は、ホルモン(テストステロンやエストロゲン)、心理的要因(ストレスや自己肯定感)、社会的背景(人間関係や文化)などが複雑に絡み合って生まれるものです。
リビドー低下の原因(男女共通)
性欲は、神経・ホルモン・血流・心理状態など、さまざまな要素で生まれます。低下する場合も同様で、身体的・心理的な原因があります。
よくある身体的原因
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性ホルモンのバランスの乱れ
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プロラクチンの過剰分泌(性欲を抑えるホルモン)
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脳内の神経伝達物質の不均衡
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一部の薬の副作用(抗うつ薬、睡眠薬、降圧薬など)
心理的原因
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うつ病
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不安障害
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慢性的なストレス
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低い自己肯定感
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性に対する否定的な教育や価値観
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過去のトラウマ
女性のリビドー低下:よくある原因と対策
女性には特有の性欲低下の原因があります。
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妊娠・授乳・更年期:ホルモンの変化で性欲が減少します。
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卵巣摘出(オバレクトミー):性欲が大きく低下することがあります。
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経口避妊薬(ピル):一部の女性では性欲の低下が報告されており、ピルをやめても影響が続くことがあります。
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副腎機能低下:性欲に関わるホルモンの分泌が減ることがあります。
これらはテストステロンの低下と関係があります。テストステロンは女性の体でも性欲に関わる重要なホルモンです。
対策
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妊娠・授乳中:無理せず休息を優先。体が準備できれば性欲は戻ります。
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ピル使用中:ホルモンへの影響が少ない方法への切り替えを検討。
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卵巣摘出後:医師と相談の上、必要に応じてホルモン補充療法を検討。
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精神的な問題:心理療法や性に関するカウンセリングで内面のブロックや不安を解消することも効果的です。
更年期のリビドー低下:どう向き合う?
更年期にはホットフラッシュや膣の乾燥など身体の変化と共に性欲が低下しやすくなります。
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ホルモン療法:エストロゲン補充は性欲に直接影響しませんが、身体症状の改善を通じて間接的に性欲に良い影響を与えることがあります。ただし、長期使用はリスク(乳がんや心血管疾患)もあるため注意が必要です。
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ライフスタイル:リラックスできる時間や運動、バランスの良い食事が心身の健康を支え、性欲の回復に役立ちます。
男性のリビドー低下:原因と治療法
男性の性欲低下の多くはテストステロン不足と関連しています。
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加齢だけでなく、生活習慣や食事も大きく影響します。
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過体重や肥満はテストステロン低下のリスクを高めます。健康的な減量や運動で改善可能です。
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糖尿病のある男性は、低テストステロンが追加の問題を引き起こすことがあります。
対策
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運動や活動的な生活は体の感覚を高め、テストステロンレベルを上げる可能性があります。
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必要に応じて医師の指導のもと、テストステロン補充療法を検討することもあります。
食事でできるリビドーサポート:おすすめの栄養素
「イチジク、チリ、牡蠣、キャビア、シャンパン…」といった食材は昔からアフロディジアックとして知られていますが、実際の効果は科学的には不明です。
性欲低下を感じる場合は、テストステロンを支える栄養素を意識するのが現実的です。
おすすめの栄養素
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ビタミンD 🌞
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ビタミンA 🥕
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亜鉛 🥜
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アスパラギン酸(アミノ酸)
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オメガ3脂肪酸 🐟
自然のサポートハーブ
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フェヌグリーク(ボクショーンクレー)
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アシュワガンダ
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レッドジンジャー
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コレウス・フォルスコリー
※マカはよく話題になりますが、科学的に性欲への効果は確認されていません。
ひと目でわかるポイント
- ✅リビドー低下は男女ともに起こり得ます。ホルモン・心理・生活習慣など、さまざまな要因が関わっています。
- ✅原因に応じた対策が重要です。ホルモン療法だけでなく、運動・栄養・ストレス管理も性欲の回復に役立ちます。
- ✅食事やサプリでの栄養補給は、テストステロンの維持や性欲サポートに効果が期待できます。ハーブも一部効果が報告されています。
💡 ポイント
性欲は一人ひとり異なるリズムがあります。焦らず、自分の体と心を大切にしながら、少しずつサポートしていくことが大切です。
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https://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(16)30596-1/fulltext
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https://www.aerztezeitung.de/Medizin/Testosteron-kurbelt-Libido-nach-Ovarektomie-an-389890.html#
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https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2050052116300221
I. Kreutz: Sexuelle Störungen bei Frauen: Hormonpräparate sind eine Option. Ärzteblatt (2011)
https://www.aerztezeitung.de/Medizin/Sexuelle-Stoerungen-bei-Frauen-Hormonpraeparate-sind-eine-Option-257137.html
Abspecken bei Diabetes bringt die Lust zurück. Ärztezeitung (2011)
https://www.aerztezeitung.de/Medizin/Abspecken-bei-Diabetes-bringt-die-Lust-zurueck-279915.html
S. Diederich: Differenzialdiagnostik und -therapie des männlichen Hypogonadismus. Arzneimittelverordnung in der Praxis (2021)
https://www.akdae.de/fileadmin/user_upload/akdae/Arzneimitteltherapie/AVP/vorab/20210201-Hypogonadismus.pdf
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S.J. Smith: Examining the Effects of Herbs on Testosterone Concentrations in Men: A Systematic Review. Advances in Nutrition (2021)
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