― 実は「ビタミン」じゃない?知っておきたいD3の働きと摂り方 ―
ビタミンDはよく耳にする栄養素ですが、ちょっとややこしい存在です。
食べ物からも太陽からも得られるってどういうこと?しかも「ビタミン」と呼ばれているのに、実はホルモン?
この記事では、そんなビタミンD(特にD3)について、私たちの体内でどんな働きをしているのか、なぜ重要なのか、どんな食べ物に含まれているのかなど、知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。
目次
ビタミンD3ってそもそも何?
まず知っておきたいのは、ビタミンDは厳密には「ビタミン」ではなく「プロホルモン(ホルモンの前駆体)」だということ。
20世紀初頭に発見されたときには、体内で合成されることがわかっていなかったため、「4番目のビタミン」として命名されたそうです。
本来、ビタミンは体内で合成できないもの。でもビタミンD3(別名:コレカルシフェロール)は、紫外線(UVB)を浴びることで、体内で自然に作られます。これが、唯一「自前で作れるビタミン」と言われる理由です。
なお、ビタミンDにはもう一つ「D2」という型もあり、植物由来のステロールから作られますが、D3に比べて体内での利用効率はやや劣るとされています。
ビタミンD3はどうやって体内で作られるの?
ビタミンD3の合成に必要なのは、太陽の光、とくにUVB(紫外線B波)です。
皮膚にあるコレステロールがUVBを吸収し、エネルギーを得て、そこからビタミンDの合成が始まります。
ちなみにUVA(紫外線A波)は皮膚の奥深くまで届きますが、ビタミンDの生成には関与しません。むしろ肌へのダメージの原因になります。
ビタミンD3が重要な理由とは?
ビタミンD3は、私たちの健康に欠かせない栄養素のひとつです。主に以下のような働きをします。
- カルシウムやリンの吸収を助けて、骨を強く保つ
- 筋肉の機能や免疫システムをサポート
- 心血管系の健康や精神的な安定にも関与
体内の多くの組織(筋肉、腎臓、副甲状腺、皮膚など)にビタミンDの受容体があり、全身に影響を与えていることがわかっています。
1日にどれくらい必要?
一般的な目安は1日あたり約20マイクログラム(µg)とされていますが、個人差が大きい栄養素です。
例えば、
- 肌の色が濃い人は、UVBを吸収しづらいため、より多くの日光が必要。
- 高齢者は、若い人に比べてビタミンDの生成能力が低下します。
高緯度地域では、太陽が十分な強さになるのは4〜9月頃の約3〜4か月だけ。そのため、日常的に日光を浴びる機会が少ない人は、食事やサプリから補うことが重要です。
ビタミンD3が摂れる食品は?
以下のような食品にビタミンD3が含まれています。
- 鮭やニシンなどの脂ののった魚
- 卵黄
- きのこ(特に紫外線を浴びて育ったもの)
※食品だけで1日分の必要量を摂るのはなかなか難しいため、補助的に活用するのが現実的です。
不足するとどうなる?
ビタミンDが不足すると、以下のような症状が出ることがあります:
- 骨や関節の痛み
- 筋力低下
- 慢性的な疲労感
- 免疫力の低下(風邪をひきやすい)
- 気分の落ち込み、うつっぽさ
- 髪のトラブルや傷の治りにくさ
気になる症状があれば、血液検査でビタミンDの状態を調べるのもおすすめです。
サプリメントを使うときの注意点
ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。
食事中に摂るか、オイルベースのサプリメントを選ぶと良いでしょう。
また、ビタミンK2との併用がおすすめです。D3とK2は相乗効果があり、カルシウムの適切な配分や心血管の健康維持に役立つとされています。
摂りすぎに注意?
理論上は過剰摂取もあり得ますが、日常的な摂取で中毒になることはめったにありません。
極端な過剰摂取が続いた場合、以下のような症状が出ることがあります:
- 吐き気・食欲不振
- 倦怠感
- 頻尿・喉の渇き
サプリメントの過剰摂取には注意しつつ、適正量を守るようにしましょう。
日焼け止めってビタミンDの吸収を邪魔するの?
はい、日焼け止めはUVBをブロックするため、ビタミンDの生成が抑えられることがあります。
特にSPFが高い場合、その傾向が強くなります。
とはいえ、紫外線による皮膚がんのリスクもあるので、無防備に日光を浴び続けるのはNG。
外出時間が短い日などに、短時間だけ日焼け止めなしで日光に当たる、もしくは食事・サプリで補うのが現実的な対策です。
※ちなみに、日焼けマシン(ソラリウム)の光は主にUVAで、ビタミンDの合成には向いていません。
ひと目でわかるポイント
- ✅ビタミンD3は、骨・筋肉・免疫・心の健康すべてに関わる重要な栄養素。
- ✅食品では魚や卵・きのこなどに含まれるが、日光やサプリも有効。
- ✅サプリを使うなら、脂質と一緒に&ビタミンK2との併用がおすすめ。
参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523028204"
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1569258297800372
https://www.dge.de/wissenschaft/referenzwerte/vitamin-d/
https://www.bfs.de/DE/themen/opt/uv/wirkung/akut/vitamin-d.html