わたしたちが「見る・聞く・感じる・考える」といったすべての体験は、神経細胞(ニューロン)が情報をやり取りしている結果です。まるで脳内に張り巡らされた電線ネットワークのように、ニューロンは信号を受け取り、伝え、処理しています。今回は、その基本的な仕組みを分かりやすく解説します。
ニューロンとは?
🧠 神経細胞(ニューロン)は、脳や神経系をつくる基本単位。情報を「受け取る・伝える・処理する」専門の細胞です。
人の脳には数千億ものニューロンがあり、それぞれがネットワークを作り、知覚・記憶・意思決定・体のコントロールを行っています。
神経細胞の仕組み
ニューロンは大きく3つの部分から成り立っています。
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細胞体(ソーマ):エネルギー生産・タンパク質合成の中心
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樹状突起:情報を受け取る入り口
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軸索(あくそく):情報を送り出す出口
⚡この仕組みのおかげで、ニューロン同士や筋肉・感覚器官と連携できるのです。
樹状突起と軸索
樹状突起は 📥「受信ボックス」。他の神経細胞や感覚細胞から信号を受け取ります。
軸索は 📤「送信ボックス」。次の細胞へ信号を届けます。
長い軸索は腰から足先まで伸びる坐骨神経などにも見られます。さらに、軸索はミエリン鞘という絶縁カバーで覆われていて、信号が素早く伝わる仕組みになっています。
シナプスでの情報伝達
🔗 神経細胞同士がつながる場所をシナプスと呼びます。
電気信号はシナプスのすき間で一度化学信号(神経伝達物質)に変換され、次の細胞に届きます。
つまり、脳内の会話は「電気」と「化学」のハイブリッド通信なのです。
電気信号はどう生まれる?
ニューロンの細胞膜にはイオンチャネルがあり、ナトリウム・カリウム・塩化物イオンなどが出入りすることで電気的な変化が起こります。
⚡この変化が「活動電位」と呼ばれる電気信号となり、細胞内を伝わっていきます。
脳と体をつなぐ神経
脳だけで完結してしまわないように、特別なニューロンが「外の世界」と「体の内部」から情報を持ち込み、また命令を届けています。
その主役が以下の3種類です👇
感覚ニューロン
👀👂👃 感覚ニューロンは、目・耳・鼻・舌・皮膚などで得た情報を脳へ伝える役割を持ちます。
さらに、体内の状態(血圧・血糖値・内臓の働きなど)もモニタリングして脳に報告しています。
運動ニューロン
💪 運動ニューロンは、脳の命令を筋肉や腺に伝える実行部隊。
手足を動かすときだけでなく、自動で働く心臓や消化器の動き、汗やホルモンの分泌にも関わっています。
介在ニューロン
✨ 介在ニューロンは全体の約9割を占める「つなぎ役」。
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感覚ニューロンと運動ニューロンをつなぐ
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情報を組み合わせて処理する
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記憶や学習の基盤を作る
視覚情報を処理する大脳皮質や、記憶を担う海馬なども、介在ニューロンの働きによって機能しています。
ひと目でわかるポイント
- ✅ニューロンは「情報の受け取り・伝達・処理」を担う神経系の基本単位
- ✅感覚ニューロン・運動ニューロン・介在ニューロンが協力して脳と体を結びつける
- ✅シナプスでは電気信号が化学信号に変換され、脳内ネットワークが成り立っている
P.E. Ludwig et al.: Neuroanatomy, Neurons. StatPearls (2023)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK441977/
T. Newman: All you need to know about neurons. Medical News Today (2023)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/320289