ビオチンは「美容ビタミン」として知られ、葉酸は妊娠中に欠かせない栄養素。そして、ビタミンB12が脳にとって重要なこともよく知られています。でも、他の5種類のビタミンBについてはどうでしょう? そして、それらはメンタルヘルスにどんな影響を与えるのでしょうか?
この記事では、すべてのビタミンB群の主な働きと、それらを豊富に含む食品について紹介します!
目次
- ビタミンB群とは?
- なぜビタミンB群はバランスの取れた食事に必要なのか?
- ビタミンB群とメンタルヘルス、脳、神経系の関係
- すべてのビタミンBを一挙に解説
- チアミン(ビタミンB1)
- リボフラビン(ビタミンB2)
- ナイアシン(ビタミンB3)
- パントテン酸(ビタミンB5)
- ピリドキシン(ビタミンB6)
- ビオチン(ビタミンB7)
- 葉酸(ビタミンB9)
- コバラミン(ビタミンB12)
ビタミンB群とは?
ビタミンBは単体のビタミンではなく、8種類の微量栄養素からなるグループであり、これをまとめて「ビタミンB群」と呼びます。それぞれのビタミンは異なる働きを持っていますが、一部は互いに依存し合い、相乗効果を発揮するのが特徴です。
ビタミンB群の中でも特に知られているのが、「美容ビタミン」とも呼ばれるビオチンと、葉酸です。葉酸は妊娠中の栄養素としてよく知られていますが、それだけでなく幅広い健康維持に不可欠な栄養素です。
ビタミンB群の主な働き
- 細胞の機能維持
- 血液の生成
- 代謝のサポート
- ホルモンバランスの調整
ビタミンB群が不足すると、健康上の問題や深刻な症状を引き起こす可能性があります。しかし、食事から十分な量を摂取できれば、体内のさまざまな機能をスムーズにサポートできます。例えば、ビオチンや葉酸を含む食品を積極的に摂ることで、体内の代謝や血液の生成が正常に機能します。
なぜビタミンB群はバランスの取れた食事に必要なのか?
ビタミンB群は体内でほとんど合成できない、またはごくわずかしか生成されないビタミンです。そのため、食事からの摂取が不可欠です。
また、ビタミンB群は水溶性ビタミンであり、体内に蓄積されずに尿として排出されるため、基本的に過剰摂取のリスクは低いとされています。ただし、ビタミンB12は例外であり、十分な摂取があれば、脂溶性ビタミンのように肝臓に蓄えられるという特徴があります。
ビタミンB群をしっかり摂るために
ビタミンB群を十分に摂取するためには、バランスの取れた食生活を意識することが重要です。特に以下の食品に多く含まれています。
✅ 緑黄色野菜(葉物野菜)
✅ 魚介類(魚・貝類)
✅ 肉類
✅ 乳製品
✅ 豆類(レンズ豆・大豆など)
✅ 全粒穀物(玄米・全粒パンなど)
✅ ナッツ類
これらをバランスよく取り入れることで、ビタミンB群を効率よく補給し、エネルギー代謝や神経機能のサポートにつなげることができます。
ビタミンB群とメンタルヘルス、脳、神経系の関係
ビタミンB群は、精神的な安定、ストレスへの対応力、神経の刺激処理に大きく関わっています。簡単に言えば、「気持ちを穏やかに保つ」ために必要な栄養素ということです。
たとえば、仕事が忙しい日や、情報があふれる環境、心配事で頭がいっぱいなときでも、ビタミンB群はストレスへの過剰な反応を抑え、心と体を落ち着かせる働きをしてくれます。その結果、神経系が整い、前向きな気分や安定した精神状態につながるのです。
すべてのビタミンBを一挙に解説
ここからは、それぞれのビタミンBの働きや豊富に含まれる食材をご紹介します。
ビタミンB1(チアミン)
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働き:神経伝達、糖質代謝、エネルギー産生、血液の形成
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豊富な食材:大豆、切り干し大根、玄米、豚肉、サーモン、うなぎ
ビタミンB2(リボフラビン)
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働き:細胞機能、成長、エネルギー代謝、皮膚の健康、他のビタミンの働きをサポート
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豊富な食材:ほうれん草、ナッツ、じゃがいも、ブロッコリー、きのこ、乳製品、卵、肉、魚
ビタミンB3(ナイアシン)
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働き:糖質・脂質・たんぱく質の代謝、筋肉・皮膚・神経の再生と機能維持
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豊富な食材:肉、青魚、内臓、ナッツ、全粒粉製品、コーヒー、きのこ、じゃがいも
ビタミンB5(パントテン酸)
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働き:エネルギー産生、ホルモン合成、脳の神経伝達、傷の治癒、酸素の運搬
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豊富な食材:魚、乳製品、豆類、穀類、アボカド、きのこ
ビタミンB6(ピリドキシン)
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働き:成長、たんぱく質代謝、セロトニン・ドーパミンの合成、神経・血液・免疫機能の維持
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豊富な食材:魚、肉、内臓、バナナ、にんじん、全粒製品、種子、ナッツ、アボカド
ビオチン(ビタミンB7)
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働き:エネルギー代謝、皮膚・粘膜の健康、髪の健康維持
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豊富な食材:くるみ、オートミール、大豆、卵黄、牛乳、イワシ、牛レバー
ビタミンB9(葉酸)
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働き:細胞分裂、成長、特に妊娠期の胎児発育、精神的機能のサポート
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豊富な食材:緑の葉野菜、豆類、ブロッコリー
🔍補足:「葉酸」には2種類あります。
私たちがサプリでよく摂る「葉酸」は、合成型(人工的に作られた形)で、体に取り込まれたあとに活性型(使える形)に変換されてはじめて働きます。
ただし、人によってはこの変換がうまくいかないこともあります。そのため、最近では最初から活性型(変換不要ですぐ使える形)の葉酸を配合したサプリも登場しています。これなら、体への負担が少なく、吸収効率も良いとされています。
ビタミンB12(コバラミン)
- 働き:脳と神経の健康、血液・細胞の形成、心血管機能
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豊富な食材:肉、魚、貝類、乳製品、卵(植物性食品にはほとんど含まれない)
※ビーガンやベジタリアンはB12が不足しやすいため、注意が必要です。
ひと目でわかるポイント
✅ ビタミンB群は、細胞や神経、血液、ホルモン、エネルギー代謝など、私たちの健康のあらゆる面に関わる栄養素。
✅ ストレスへの耐性や、穏やかな気分の維持にも貢献します。
✅ 緑の葉野菜、魚介、肉類、豆類、ナッツ、全粒穀物などを積極的に取り入れましょう。
参考文献
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